セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

セレモニーピアニストのこと

献奏でご要望の高い曲

投稿日:2018年11月22日

こちらの記事からの続きになります。

実際の献奏の場面で、お客様からの要望の高い曲には何があるでしょうか?
いくつかピックアップして見たいと思います。

美空ひばり「川の流れのように」

この曲に限らず、美空ひばりの曲は、献奏の場面で演奏される機会は非常に多いです。「愛燦燦」「悲しい酒」「みだれ髪」「柔」「リンゴ追分」などなど。でも、それらを押しのけて、「川の流れのように」の演奏回数は、他を圧倒しております。理由は述べるまでもないでしょう。もちろん、ご遺族様からの要望も多いですが、例えば、ご遺族様から具体的な曲名が出てこない時に、葬祭スタッフからこの曲をオススメして、演奏が決まるケースも多いのです。

私自身も、例えば、特に決まったリクエスト(ご要望)のないお式の献奏で、この曲を取り上げる事は多く、もうこれまで幾度演奏したのか記憶にございません。メロディーが本当に素晴らしく、しっとりとしていて、かつ厳かな雰囲気も兼ね備えており、開式前、お別れの花入れ、出棺、どの場面にも映えます。流行り廃りがないのも特徴で、献奏を始めた15年前から、演奏の頻度が全く変わらないのは、やはり、それだけ人気が高い事の証拠なのでしょう。

実は、私の祖母を見送った際、出棺時にこの歌を生演奏で奏されました。もう献奏に従事して数年経っており、手垢が出るほど弾きまくり、聞きまくってた曲だというのに、その時、私の心と背中にジーンとした温もりを感じました。他の曲も演奏されていましたが、今でも一番に思い出すのは、「川の流れのように」です。

演奏にあたっての問題点は少ないですが、敢えて書くと、少なからず「アンチ」がいらっしゃいますので、その辺りは気を遣うところです。これは、他の歌手の曲でも同様なんですが、美空ひばりさんの場合、特に個性が強い分、はっきり拒絶を示される方が多いのも事実です。

「千の風になって」

発表は2001年ですが、テノール歌手の秋川雅史さんが2006年にこの曲を取り上げてから、一気に世の中に広がり、ちょっとしたブームになりました。一時期は、ご葬儀といえば必ずこの曲、と言った感じで演奏頻度が非常に高かった曲です。ブームからは10年以上経っておりますが、献奏の場面では、今でも根強く演奏されております。この曲を演奏すると、ホッとした表情をなさるお客様が多いですね。ただ、後述する理由もあって、近年私自身の演奏頻度は減ってきています。

この曲を取り上げる際の問題点と言えば、仏教式において、一部のお寺さん(導師)からの反発が大きい事です。「私の(導師を務める)式では千の風(になって)は演奏しないで欲しい」とはっきり仰られた事もあります。仏教界において、この曲の歌詞の内容を巡って論争が行われた事もありましたね。お寺さんも色々で、以前一緒にお仕事をしたお坊さんは、通夜のお務め後の法話の際に、アカペラで必ず「千の風になって」を歌っているんだ、とおっしゃっていました。その方は浄土宗でした。宗派によって考え方もまちまちなのでしょう。

「水戸黄門」のテーマ曲(あゝ人生に涙あり)

地上波の本放送の終了(2011年)から、もう何年も経つと言うのに、今だにこの曲へのご要望は止まる気配がありません。時代劇の圧倒的な人気もありますが、歌詞には人の道が描かれていて、それはまさに人生最後の送り出しにふさわしい内容となっている事が、ご要望の多い一因でもあるかと思います。

問題点は、やはりその勇ましい曲調にあろうかと思います。「水戸黄門」をお葬式で流したいのだけど、静かな雰囲気を壊したりしないか?と悩むご遺族様も大勢いらっしゃるかと思います。そこでこそ、生演奏の出番となります。以前にも書きましたが、生演奏だと、演奏家の腕によって「アレンジ」を施すことができます。勇壮な曲調も、静かでかつ厳かな雰囲気に一変します。例えば、お別れの花入れの際には、静かに演奏し、出棺の時には原曲の雰囲気そのままに勇壮な演奏でお送りする、と言った演出も、生演奏なら可能にします。

時代劇のテーマ曲は、セレモニーの空間に合う曲が多いので、是非とも故人様が時代劇のファンであった場合はご要望ください。「水戸黄門」を始め「暴れん坊将軍」「大岡越前」「遠山の金さん」「必殺シリーズ」などなど、いずれも思い出深い曲たちです。

続きはいずれまた・・・。

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