セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

イベント報告

曲目リスト@花と音楽のワインフェスティバル

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本日(11月11日)、フラワーパーク江南の「花と音楽のワインフェスティバル」にお越し下さったお客様へ、私片山より、本日のワインに合わせた音楽の解説を、こちらで致したいと思います。ワインフェスティバルにいらっしゃる方も、おいで頂いていない方も、どうぞお読みください。

ワインフェスティバル音楽リスト

1.ニュージーランド
 「ザ・スプリングス、ソーヴィニヨンブラン」(白)

♪マイケル・ナイマン「楽しみを希う心」
 (映画『ピアノ・レッスン』より)

ニュージーランドの音楽というのは、日本に紹介される事が大変少なく、私自身、全くと言って良い程、この国の音楽に触れる機会がありません。古くは、ポリネシア系の民族音楽(マオリ音楽)が広く奏され、もちろん現地でポピュラー音楽は流通しておりますが、残念ながら、なかなか日本には情報が入って来ないようです。

一方、映画界においては、ニュージーランドから、度々世界的な活躍をする人物を輩出しております。今回ご紹介する映画『ピアノ・レッスン』(1993年/フランス・オーストラリア・ニュージーランド合作)の監督ジェーン・カンピオンもその一人。舞台は19世紀のニュージーランドで、登場人物にもニュージーランドの先住民族マオリ族の血を引く者がおり、まさにニュージーランドを代表する映画といって良いでしょう。曲は、こちらの映画のサントラから、マイケル・ナイマンによる代表的なナンバー「楽しみを希(こいねが)う心」を演奏します。

2.スペイン
 「マリエッタ、アルバリーニョ」(白)

♪ルアル・ナ・ルブレ「おまえはジプシー娘」

白ぶどうの品種「アルバリーニョ」の一大産地である、スペインのガリシア地方は、スペイン北西部の大西洋に面した地域で、スペインの中でも、少し特異な文化を持っています。その昔に、グレートブリテン島(イギリス)からアングロサクソン系の入植者が大勢渡って来た事が影響したのか、ガリシア地方の民族音楽には、スコットランド・アイルランド地方の民族音楽であるケルト音楽と多くの類似が見られ、スペインケルトと言う、ひとつのジャンルを形成しています。

今回ご紹介するルアル・ナ・ルブレは、まさにスペインケルトを代表する音楽集団で、1986年にこのガリシアを拠点に結成されて以来、本国スペインにとどまらず、ヨーロッパを始め、世界各地でコンサートを繰り広げております。そんな彼らの代表曲のひとつ「おまえはジプシー娘」を演奏します。ここで言うジプシー娘とは、「魔女」の意味も兼ねています。中世、近世のヨーロッパでは、有名な「カルメン」に象徴されるように、ジプシー(ロマ族)の女性は、魔性の女として蔑まれていたようで、このタイトルからも、そんな世相が伺えます。

3.日本
 「メルシャン藍茜、メルロー」(赤)

♪安全地帯「ワインレッドの心」

歌謡曲、J-POPの中で、ワインをテーマに扱った曲は、一体どれくらいあるのでしょうか?詳しく調べた訳ではないのですが、1970年代以前は少なく、ワインが一般家庭に定着した1980年代以降のナンバーが多いように感じます。その1980年代にワインが歌詞に描かれた曲、と言って私が思い出すのは、高橋真梨子の「桃色吐息」と、今日取り上げる「ワインレッドの心」です。

この「ワインレッドの心」は、発表当時小学生だった私には、とても印象の深い曲でした。その頃の私は、歌謡曲にどっぷりハマっていて、テレビの音楽ランキング番組「ザ・ベストテン」で、初めて玉置浩二の姿を見た時、その甘い声に似つかわしくない、イカリ肩のスーツと、ちょっとビジュアル系がかったメイクに、ちょっぴりショックを受けた記憶があります。曲自体は大好きで、この曲や「悲しみにさよなら」など、当時からよく鼻歌で歌っておりました。クラスで話の合う者はおらず、若干マセたガキだったかもしれません。

4.ドイツ
 「クロスター、ピノ・ノワール」(赤)

♪モーツァルト「ピアノソナタ(第7番)ハ長調K.309(284a)」より
 第1楽章 アレグロ・コン・スピーリト

クロスター醸造所のあるファルツ(プファルツ)地方は、ドイツ南部・オーストリアとフランスの間を旅する者が行き交う道の中途に位置します。21才の若きモーツァルトが、故郷ザルツブルグを飛び出し、仕事を求めて、ドイツ南部の町マンハイム、そしてフランスのパリへと向かいましたが、その時には、きっと、この温暖なファルツ地方に広がる葡萄畑の風景を、馬車に揺られながら、眺めていたことでしょう。

今日演奏するピアノソナタK.309は、このマンハイム・パリ旅行の際に生まれた曲で、若者らしい血気盛んなモーツァルトの一面をよく表した曲でもあります。ひょっとしたら、この曲の着想を、葡萄畑の見える馬車の中で書き留めていた、なんて事があったかもしれません。ついついそんな妄想も膨らんでしまいます。

5.フランス
 「マリアンヌ、タナ」(赤)

♪サティ「ジムノペディ第1番」(ゆっくりと苦しみをもって)

最後はフランスから。フランスワインに合う曲をチョイスするにあたって、迷いに迷った挙句、非常にオーソドックスな1曲を選んでしまったのは、誠に不徳の致すところというほかありませんが、意外にも、このジムノペディとワインとは、只ならぬ関係があるのです。

サティは音楽学校の名門パリ音楽院を怠惰な成績で、わずか2年のうちに飛び出してしまします。定職にありつけなかった彼が入り浸ったのは、パリ、モンマルトルにオープンしたばかりの酒場「黒猫(シャノワール)」。サティは、ここでのピアノ演奏の職を射止めるために、面接の時に自分を「ジムノペディストだ。」と名乗った、なんてエピソードがあるのです。「ジムノペディア」と言うギリシアに伝わる奇祭を司る人、と言う意味なのでしょうか?若い頃から、環境の邪魔をしない音楽(BGM)を研究していたサティの事、きっとこの曲も、酒場でピアノの演奏をする際に、よく取り上げていたに違いありません。当時の「シャノワール」の雰囲気に思いを馳せながら、演奏に臨みたいと思います。

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