セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

セレモニーピアニストのこと

セレモニーピアニスト宣言

投稿日:2018年6月23日

セレモニーピアニスト・・・。

おそらく普通の方には聞き慣れない言葉かもしれません。直訳すれば、様々な式典や儀式でピアノ演奏をする者の事ですが、一般的にはご葬儀・お通夜などでピアノを演奏するプレイヤーを指す事が多いようです。

私自身が、葬儀式の演奏の仕事に携わるようになってから、早15年が経過しました。その間、一度も自分がセレモニープレイヤーだと思ったことはない。のっけから穏やかでない話ですが、私に限らず、多くのピアニストが、例えセレモニーの演奏に携わっていても、本人はコンサートピアニストだと思っています。私も例に漏れず、その一人でした。

ちょっと業界に詳しい方なら先刻承知のお話。日本国内で「コンサートピアニスト」、すなわち、コンサートやCDリリースだけで食べていけるピアニストと言うのは、ほんの僅かで、多くのピアニストを名乗る者の実情は、ピアノ講師だったり、お店を経営したり、別の仕事を兼ねていて、コンサートでの収入なんかより講師料や別の収入の方がはるかに多い。ヘタすると演奏で収入なんかないかもしれない。それでも、そんな多くのプレイヤーたちが自らを「ピアニスト」と名乗る。アイデンティティーとして間違ってはいないかもしれないが、確定申告上は、職業詐称でしょ、それ。

こちらのサイト、タイトルを「セレモニーピアニストの日々」と名付けましたが、実はなかなか「セレモニーピアニスト」と自ら名乗るのに抵抗があり、結構これでも、思い切ったんです。だってやっぱりピアニストってったら、ホールでコンサートをバンバンやってるのが、一番カッコいいじゃないですか?人に仕事聞かれたら、「今度(愛知県)芸術劇場のホールでコンサートするッスよ。」って言いたいじゃないですか?(愛知県民なので) ジャズだったら「今度ブルーノートでやるオレのコンサート、来てください。」とか言いたいじゃないですか?ねえ・・・。

それが、「葬儀会館でピアノ弾いています。」とか言えば、相手は「あっ、あぁ・・・。」みたいな、びみょーな顔になるでしょ。ヘタすると、自分の仕事を一から説明しなきゃいけないかもしんない。「葬儀に、生演奏があって、献奏っていうんだけど・・・。」・・・ダルいよ。

でもね、15年携わって、1年に100件以上ご葬儀でピアノ弾いて、もう多分2000人近くの方をお見送りして、なんで「セレモニーピアニスト」じゃないのか?って事なのです。やはり、これまでの自身の歩みの中で、一番深く携わっている仕事こそ、最も誇るべき仕事だという事に、15年経ってようやく気づき、しっかりと、これからは、「ワレコソハ、セレモニーピアニストナリ。」と、高らかに宣言しようと、こう思ったのです。

原則として、このサイトは、私の音楽活動全般の発信がメインになりますので、必ずしもセレモニーピアニストとしてのあれこれを書き綴る事だけに特化させるつもりはありませんが、今の自分の中心線だけは見失わないようにしたい、との思いで進んでゆく所存にございます。

すっかり長文になってしまいました。まずはこれくらいにて。

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