こちらの記事からの続きになります。
献奏の際に演奏される曲ですが、結論から申し上げると、もう「何でもあり」です。
前回の記事で演奏シーンでBGMと「献奏」の2つにカテゴライズ致しましたが、このうち前者は、葬儀の雰囲気を壊さないヒーリング(癒し)系の音楽を演奏します。ヒーリング系と言っても、主に法的な事情もあって、私はセレモニー用に書き下ろした自分のオリジナル曲を演奏したり、場の雰囲気に合わせた即興演奏をする事が多いです。
「献奏」の部分では、ご遺族様・故人様のご希望があれば、ご希望の曲を演奏します。献奏を依頼する側にとっては、こちらが最も気になる点かもしれません。
「どんな曲を演奏してくれるのか?」
もうこれは、ご希望に応じて何でも、と申し上げております。過去に、自分が直接・あるいは事務所として間接的に関わった件も含めて、多種多様なリクエストをお請け致しました。さすがにご希望曲に100%お応えした、と言う訳には参りませんが、少なくとも99%以上のリクエストには、何らかの形でお応えしてきた自負があります。
ご希望の曲と言っても千差万別です。故人様が生前に愛された曲を演奏するのが一番ふさわしいのは言うに及ばず、必ずしもそればかりで無くても良く、故人様への手向けを込めて、ご遺族様自身のお好きな曲を選んで差し上げるのも、決して悪い事ではありません。ご家族を愛した故人様であれば、お孫さんの好きな曲を敢えてセレクトされても、きっと棺の中でウンウンと聞いて下さるに違いありません。
もうひとつ、大きな問題があります。それはご希望の曲が決まった、あるいは分かっていても、果たしてそれがご葬儀の雰囲気に合うかどうか、と言う事です。少人数の家族葬であれば、家族の合議で雰囲気を気にせず曲をセレクトする事も可能ですが、大事なお客様が大勢見えるようなご葬儀では、やはりそれなりの雰囲気づくりは必要になるでしょう。
雰囲気を重視したセレモニー空間の中で、例えば、昔のTVドラマ「水戸黄門」の主題歌「あゝ人生に涙あり」のような勇壮な曲を演奏することは可能か?と問われれば、それはお応えする事ができます。もちろん演歌の「河内おとこ節」のような派手で賑やかな曲でも可能です。それは「アレンジ(編曲)」によって可能にします。
とは言え、元のメロディーが分かってしまうと、例えアレンジして演奏したとしても、原曲の雰囲気が脳内再生されて、何だか妙な気分になってしまう事もあるでしょう。例えば、故人様が氷川きよしの大ファンだったとして、果たして「きよしのズンドコ節」をセレモニーの空間で流して良いものかどうか?その場合は、例えば、同じ氷川きよしでも「白雲の城」など、雰囲気を壊さない曲を私どもからセレクトして、ご提案差し上げる事ができます。また、必ずしもセレモニーはしめやかに営まなければならないものではありませんので、敢えて「ズンドコ節」をセレクトして賑やかにお送りする、と言うプランニングもできます。ただし、その場合は、司会者や葬祭スタッフにも協力してもらい、賑やかにお送りする雰囲気づくりをしてゆく事が不可欠です。
また改めて、具体的に、どんな曲がよく選ばれているのか?しめやかな雰囲気づくりに合った選曲はどんなものかを、記事にしたいと思います。