セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

セレモニーピアニストのこと

[年代別]献奏でご要望の高い曲[70代後半〜80代](1)

投稿日:2019年4月4日

前回の記事はこちら

久しく更新が途絶えておりましたが、年代別献奏曲記事の4回目。ここでは70歳代後半及び80歳代の方々がお亡くなりの際に、リクエストされることの多い曲を取り上げたいと思います。

70代後半と言うと、俗に言う「団塊」の上の世代にあたります。私にはなかなか分からないのですが、団塊とその上の世代には、大きなジェネレーションギャップがあるようです。先日も、とある音楽イベントの会合で、団塊の世代の方が、「一括りに高齢者と言っても、私たちと、後期(高齢者)の人とは、聞いている音楽が全く違う。」と言う趣旨の事を述べておりました。確かに、団塊の世代が購買層になる昭和40年代(1960年代後半)より、音楽の流行が多様化し、国民的ヒット曲の定義も変わっていったように感じます。今回は、まだそうなる前、国民が等しく同じ曲を共有できた昭和20年代後半から昭和30年代(1950-1965頃)にかけての曲が中心になります。現在のセレモニー演奏において、いわゆるボリュームゾーンとなる曲たちです。

※文中の敬称は略させて頂きます。

「岸壁の母」

ご存知戦後の兵士の引き揚げにまつわる歌ですが、同じ背景を持った「かえり船」とは対照的に、こちらは帰らぬ息子を待つ母の悲哀が感傷的に描かれます。この曲は二人の歌手により、二度の大ヒットを記録しています。最初は昭和29年(1954年)、菊池章子が歌って大ヒットを記録し、その18年後、昭和47年(1972年)に二葉百合子が歌って二度目のヒット。ですので、親子でこの曲を共有したと言う家族も多い事でしょう。歌詞の持つ重さとは裏腹に、曲調にことさら悲しみを強調してはいないため、楽器演奏だけで痛切な悲哀を表現するのはなかなかに難しいです。
(1954年/昭和29年/藤田まさと:詞/平川浪竜:曲)

春日八郎「別れの一本杉」

昭和30年代に入り、歌詞に重点を置き、日本的音階の中に男女の情愛をしっとりと歌った「演歌」が登場します。発売当時には、この曲を「演歌」と言うジャンルでは呼んでいませんでしたが、クラシックやジャズを基調とした戦後流行歌とは一線を画した叙情歌に、人々は魅入られました。同時期にデビューした美空ひばり、少し遅れてデビューした島倉千代子、三波春夫、村田英雄らと共に、演歌と言うジャンルが一気に広がりを見せました。「別れの一本杉」はそんな演歌の、まさに走りとなった1曲です。
(1955年/昭和30年/高野公男:詞/船村徹:曲)

フランク永井「有楽町で逢いましょう」

演歌と並んで戦後流行歌の一大ジャンルを形成した「ムード歌謡」。生みの親は作曲家の吉田正とも言われていますが、その吉田の下で研鑽を積んだフランク永井の最初のヒット曲が、この「有楽町で逢いましょう」になります。歌の上手い歌手はゴマンとおりますが、私自身にとって、その声だけで背筋がジーンとなる数少ない歌手の一人です。この曲だけでなく「夜霧の第二国道」「おまえに」、松尾和子とのデュエット曲「東京ナイト・クラブ」にも、リクエストを頂戴する事は多いです。
(1957年/昭和32年/佐伯孝夫:詞/吉田正:曲)

村田英雄「無法松の一生」

春日八郎に続き、演歌と言うジャンルの黎明期を飾った一人が村田英雄です。1年早くデビューした三波春夫と並び語られる事が多いですが、華やかな曲調の多い三波の曲に比べ、渋い曲調の多い村田の方が、セレモニーの場面には馴染みます。とは言え、最もリクエストの多い「無法松の一生」は、勇壮且つ華やかな曲調ですので、アレンジが必要になります。コンサートで一緒に歌われることの多い「度胸千両」は省略する事がほとんどです(ご希望があれば演奏します)。村田英雄には「王将」「皆の衆」や「夫婦春秋」へのリクエストも多いです。
(1958年/昭和33年/吉野夫二郎:詞/古賀政男:曲)

三橋美智也「古城」

昭和30年代に一世を風靡した歌手、三橋美智也による最大のヒット曲。まだオリコンが無かったため、公式記録には残っていませんが、何とレコードの売上げが300万枚を超えたとか。この「古城」のみならず、当時ミリオンセラー級のヒットを連発したそうですが、現代においては、同時代に活躍した春日八郎、村田英雄、三波春夫らに比べると、存在感が少々地味に感じられます。リクエストも「古城」こそ度々頂戴しますが、他の三橋の曲の演奏機会はごく稀です。
(1959年/昭和34年/高橋掬太郎:詞/細川潤一:曲)

もう少し、この年代の曲を取り上げたいと思います。

2019年4月5日追記
続きの原稿アップしました。献奏でご要望の高い曲70代後半〜80代(2)

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