セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

セレモニーピアニストのこと

献奏に合う曲合わない曲

投稿日:2018年10月3日

私どもが、献奏(セレモニー演奏)行う際、喪家様より頂戴するリクエスト曲は、可能な限りお応えするようにしています。この「可能な限り」と言うのは、便利な言葉ですね。可能とする範囲なんて、演奏者の手腕によってどのようにも設定できますから。

ちなみに私が代表を勤める事務所「献奏社」でのリクエスト対応率は、99%以上です。1000件以上のご葬儀を手がけて、対応できなかったケースは10件に満たないと記憶しております。

とは言っても、ピアノやバイオリンなどで演奏をして、ふさわしい曲とそうでない曲は区別せざるを得ません。「出来る」のと「いい感じに出来る」のとは違います。

結論から申し上げると、メロディーより言葉(歌詞)にウェイトが乗っている曲は、一般的に楽器演奏(インストロメンタル)には不向きです。特に、メロディーが同じ音をずっと鳴らしているような曲などは、楽器演奏が最も苦手とする部分です。

最も分かり易い例は「ラップ」ですね。"wrap"じゃなくて"rap"。残ったご飯の上に虫やホコリが入らないようにかけておくんじゃない方の「ラップ」。首や手に、シルバーアクセとか巻きつけて、「チェケラ」って言ってる方の「ラップ」(すごい偏見)。悪そうなヤツが大体友達な方の・・・しつこいか?

ラップに限らず、ロックやR&Bのジャンルでも、同音連打や同じ音形の繰り返しでメロディーが構成される曲は数多く、こう言ったものも、実はあまり効果的ではありません。例えば、「サティスファクション(ローリング・ストーンズ)」ピアノならリフを生かしてのアレンジが可能ですが、バイオリンやフルートのソロでは厳しい。それから、かつてブライダルの定番だった「ユア・ビューティフル(ジェームス・ブラント)」。最近の曲だと「ベイビー・アイラブユー(TEE)」はピアノでも厳しかったですね。

総じて、ここ10ー20年来の洋楽に、言葉のリズム感に偏重してメロディーラインが単調化された楽曲が数多くなり、邦楽もそこまでではありませんが、やはりこの傾向が強まってきているので、これらの曲をインストで要求されると、献奏に限らず、なかなか難しい現実に突き当たります。

じゃあ、これらの曲は、お客様から希望されても、演奏しないほうが良いのか?と言うと、決してそうではなく、多少演者側が違和感を持ったとしても、演奏すべきであると私は思っております。ご遺族様にとっては、一人一人特別な思いでご希望なさっていますから、この場合の献奏とは、その良し悪しではなく、言い方は悪いですが、ご遺族様が生前の故人様の記憶を手繰り寄せる「ツール」としての役割を担っているのです。

演奏の難しいジャンルとして、もう一つ。「純邦楽」。さすがに、浄瑠璃や詩吟などをご希望なさった方には丁重にお断りを致しましたが、相撲甚句はトライしてみました。民謡については、今の所100%お応え致しております。私自身は三味線や民謡歌手との共演経験がありますので、例えば、馬子唄のような、完全に洋楽器とは抑揚とリズム感の違う楽曲も演奏致します。

民謡自体はご葬儀に合わないわけではなく、御詠歌がご葬儀の中で歌われる機会は多く、浄土真宗の場合は和讃と呼ばれる御詠歌が、必ず正信偈の後に歌われますので、俗謡とは言え、民謡とご葬儀の親和性は低くはありません。しかし、現代の歌と同じく、言葉に重点が置かれた詩吟や端唄小唄の類は、楽器演奏には不向きと言えます。

では逆に、献奏に合う曲、効果的な曲は何なのか?それについては、また原稿を改めて、書いてみたいと思います。

-セレモニーピアニストのこと
-, ,

Copyright© 片山健太郎 , 2018 All Rights Reserved Powered by STINGER.