セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

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【アーティスト別】献奏でご要望の高い曲 (3) 北島三郎

投稿日:2019年5月29日

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アーティスト編の第3回は、皆様ご存知演歌界の大御所。サブちゃんこと「北島三郎」です。

私は演歌に関しては完全なる「素人」ですが、演歌の歴史の中での北島三郎の位置と、ジャズの歴史の中でのマイルス・デイヴィスの立ち位置とは、よく似ているなあと感じる事があります。演歌というジャンルを定義づけた点、そして後進の育成に力を注いでいる点、「大ボス」のようなキャラ感に、よく分かっていない私は、勝手にお二人を重ね合わせてしまいます。

そんな北島三郎も、またよくリクエストを頂戴する一人であります。世代の問題もあって、故人様が演歌をお好きでいらっしゃっても、そのお子様が演歌に興味を持つ事が少なく、リクエストを頂戴する際に、漠然と「演歌で」とおっしゃるケースも多いため、そのような時には、必ずと言って良い程、北島三郎の曲を取り上げる事になります。

万遍なく色々な楽曲にリクエストが届くのも特徴で、現役で活躍している事もあり、その時々の最新のシングル曲をリクエストに頂く事もあります。ディスコグラフィーが膨大で、セレクトもなかなか大変ですが、セレモニーでよく選ばれている曲をどうにかこうにか選んでみました。

※文中の敬称は略させて頂きます。

「風雪ながれ旅」

北島三郎の代表曲として、NHKのTV番組「紅白歌合戦」でも度々歌われています。「男」を題材とした勇壮な楽曲が多い中で、この「風雪ながれ旅」は、幾分叙情的な雰囲気を持っているため、セレモニーには欠かせない楽曲となっています。演奏に際しての問題は、他の曲にも言える事ですが、サブちゃん独特のコブシやタメを完全に記譜することは難しいため、楽譜通りの演奏では、「らしさ」がなかなか出てくれません。この曲のメロ部分は3拍子ですが、意図的に3拍子に無理やり収めたようなメロディーラインを形成しているので、なおさら問題を難しくさせます。楽器演奏でコブシを回し過ぎるのもヘンなので、その辺りの塩梅も重要になります。セレモニーで北島三郎といえば、いの一番に取り上げられる曲です。
(1980年/昭和55年/星野哲郎:詞/船村徹:曲)

「北の漁場」

北島三郎の、まさに「男」を象徴した楽曲。そのまま演奏すると、ちょっと強すぎる印象を与えてしまいますが、しっとりと演奏する事で、どうにかセレモニーの雰囲気には合わせる事が出来ます。故人様が釣り好きで、なおかつ演歌好きだったと言う場合には、鳥羽一郎の「兄弟船」と並んで、マストな1曲となります。
(1986年/昭和61年/新條カオル:詞/桜田誠一:曲)

「歩」「川」「山」

北島三郎の楽曲には、漢字一文字のタイトルのものが大変多く、「一文字シリーズ」としてファンには良く知られているようです。その中でも、表題に取り上げた3曲のリクエストを頂戴する機会が多いです。お恥ずかしい限りですが、私はある時まで、この「歩」は「あゆみ」と読むもんだとばかり思っていました。まだ駆け出しの頃、仕事を流れ作業で行っていて、演奏だけなので、歌詞なんぞろくすっぽ読みもせず、この曲を「ふ」と読み、将棋になぞらえて自分の生きる道を歌ったものと知った時は、赤面モノでした。事務所のスタッフにも葬儀場の担当者にも、「あゆみ」「あゆみ」と言ってましたからねえ。
(「歩」1976年/昭和51年/関沢新一:詞/安藤実親:曲)
(「川」1987年/昭和62年/野村耕三:詞/池山錠:曲)
(「山」1990年/平成2年/星野哲郎:詞/原譲二[北島三郎]:曲)

「まつり」

「風雪ながれ旅」と並んで北島三郎の代表曲であり、紅白歌合戦でも度々取り上げられます。もちろんリクエストを頂戴する事も多いのですが、言わずもがな、演奏者泣かせの楽曲でもあります。どんなにしっとり演奏しようと試みても、お別れ献花の場面での演奏は憚られます。唯一、出棺の場面で、全体の雰囲気が重苦しくなければ、ガツンと演奏して映える曲ではあるかと思います。それでもこの曲を演奏するなら、ご葬儀以外のシチュエーションが良いですね。福祉施設、老人施設などの慰問演奏では、時に弾き語りで取り上げたりしますが、お客様だけでなく、演奏する側も気持ちの良い曲です。
(1984年/昭和59年/なかにし礼:詞/原譲二:曲)

その他、「帰ろかな」「函館の女」「与作」と言った往年の楽曲にもリクエストはありますが、21世紀に入ってからの曲、例えば「比叡の風」「人道」「にっぽんの歌」と言った所にもリクエストを頂戴しました。「ありがとうキタサンブラック」なんてのもあったっけ。ごく最近「令和音頭」と言うシングルをリリースしましたから、ひょっとしたら近い将来、こちらも演奏する機会があるかもしれません。

では今回も最後に恒例の、北島三郎の楽曲だけでセレモニー演奏を構成するとしたら、と言うテーマで選曲してみます。実際には法的な問題もあって、このような形で演奏できる機会はごくごく限られますが、あくまでもシミュレーションという事でご理解下さい。

<開式前>
・与作
・北の漁場
・歩

<ナレーションBGM>
適当な楽曲が見つからないため、定番曲で対応

<閉式後、お別れ献花>
・風雪ながれ旅
・帰ろかな

<出棺>
・まつり

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