セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

ウイスキー 食と嗜好品

ハイボール考・・・夏はハイボールの季節 最後に印象に残ったウイスキーの銘柄を。

投稿日:2022年6月5日

ハイボールはウイスキーをおいしく飲むための最良ではない。

ハイボールは炭酸水をおいしく飲むための最良である。

私なりのハイボール感を結論から申し上げるとこうなります。

ここからは、超個人的感想です。

お酒を炭酸水で割る飲み方、もはや最もポピュラーなカクテルの一つとして定着しております。炭酸割りは、何もウイスキーだけの専売特許ではなく、焼酎、ジン、ブランデー、ウォッカなど、様々な蒸留酒で楽しめますし、蒸留酒だけでなく、日本酒やワインでも楽しむことができます(白ワインの炭酸割りには「スプリッツァー」と言うカクテル名がついています)。その中にあって、「ハイボール」と言えば、一般的にはウイスキーを炭酸で割ったカクテルの名称とされるほど、ウイスキーと炭酸水とは切っても切れない関係にあります。ウイスキーと言えばハイボール。ハイボールと言えばウイスキー、今やそう言ったイメージが定着しております。

では、ハイボールが、ウイスキーの魅力を引き出す飲み方かと言えば、さにあらず。もちろん、低価格帯のウイスキーの中には、ハイボールで飲むことを推奨した商品が存在しますが、おいしいウイスキーに巡り会えた時、そのウイスキーをハイボールで飲んでみようとはならないでしょう。理由は簡単で、ウイスキーの中にあるとろみやコク、甘さと言った、うまみの大半を、ハイボールにすることで失ってしまうからです。

確かに、アードベッグやラフロイグと言ったクセの強いウイスキーであれば、ハイボールでも、その特徴が消えることはない。でもストレートで口にした時に感じる、強烈なピート香の奥に広がる甘さは、ハイボールにした時点で、その多くを失ってしまう。炭酸の持つピリピリした刺激に味覚を支配され、細かな味わいを拾う事が難しくなってしまいます。

そうは言っても、ハイボール、おいしいですよねえ。

ハイボールのおいしさとは何ぞや?と考えたとき、主役はウイスキーではなく、炭酸水にあるのでは?と言うのが、私の感想です。

炭酸水

これも私の個人的感想ですが、あれをそのまま飲むのって、ちょっとツラいです。舌と喉にピリピリした刺激を感じるだけの無味無臭の液体ですから、ひとくち二口なら飲めますが、そう多く飲めたものでは無い。レモン水を足せば、酸味と爽快感がプラスされますが、その次には、どうしても甘みが足りないと感じてしまう。そこで、砂糖入り炭酸飲料の出番となるわけです。ところが、この砂糖入り炭酸飲料、飲み始めこそ爽快ですが、飲み終えた後に、どうしても砂糖特有の重さやえぐみが口の中やのどの中に残ってしまい、爽快感がスポイルされてしまう。えぐみを除去しようとして、さらに砂糖入り炭酸飲料を飲んでしまう。でも口の中やのどの奥がねばつく。そんな負のループが続いてしまいます。

ハイボールであれば、ほのかな甘さが炭酸の中に包まれ、それは糖分由来の甘さではありませんので、飲んだ後に嫌なえぐみが残らず、炭酸水の持つ爽快感を存分に楽しめます。そんな理由から、私は冒頭に申し上げたように「ハイボールとは炭酸水をおいしく飲むための最良である。」と勝手に定義させて頂こうと思うのです。

最後に、私が最近ハイボールで飲んで旨いなあと感じた一品を取り上げてシメといたします。

バランタイン17年


価格帯が5,000円を超えることもあり、ちょっとハイボールでいただくには贅沢な感があります。でもこれが絶品なんだな。この17年、ストレートでいただくと、樽感やビターさが前面に出ており、万能な味わいのバランタイン12年も比べると、ちょっとクセがあるというか、飲む人を選ぶ傾向があると思えます。ところがハイボールにすると、このビターさが炭酸の刺激と中和され、フレッシュな青りんご感だけが口いっぱいに広がります。後味も爽快フレッシュで、低価格帯ウイスキーハイボールに圧倒的な差をつけてくれます。甘いのに甘くない、抜群の清涼感が余韻に残る、まさに夏に飲みたいハイボールです。

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