セレモニーピアニストの日々

片山健太郎

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[年代別]献奏でご要望の高い曲[60代〜70代前半](2) 演歌編2

投稿日:2019年9月6日

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演歌編の2回目です。

ここのところ取り上げている演歌の各楽曲は、特に60、70歳代に限定されるものではなく、その上の世代からのリクエストも大変多いのです。いや、むしろ70歳代後半から80歳代の方がボリュームゾーンなのかも。演歌を好まれる方が、ご自身の世代に関係なく、若い方の演歌も好まれる傾向にあり、今回は取り上げませんが、例えば氷川きよしや、さらにもっと若い世代の歌手も積極的に聞かれているようです。

今回は昭和50年代楽曲を中心に取り上げますが、その前の年代の楽曲に比べ、ヨナ抜き音階ではっきりした演歌色の濃いもの、いわゆる「ど演歌」に回帰してゆく傾向にあったようです。平成に入って、さらにその傾向が強まった感じですね。もちろん、氷川きよしをはじめとする若い歌手たちも、演歌だけでなく、ムード歌謡やポップスも歌っておりますが、その場合は、あくまでも別のジャンルに取り組むと言うスタンスを取っており、演歌として歌う楽曲は、「ど演歌」である事が多いようです。

※文中の敬称は略させて頂きます。

五木ひろし「長良川艶歌」

五木ひろしへのリクエストは本当に多く、以前特集した北島三郎の時のように、五木ひろしだけでひとつ記事を作るか大いに迷いました。今日現在、ミリオンセラーを記録したレコード(CD)は無いのですが、コンスタントにヒット曲を出しており、こと献奏に限って言うと、非常にたくさんの魅力的な楽曲があります。例えば「千曲川」「契り」「山河」など、非常に叙情的で私は良いんじゃないかな、と思います。もちろんリクエストが最も多いのは、表題に取り上げた「長良川艶歌」ですね。ご当地ソングとして、岐阜県出身の方からも、よくご指名を頂く曲でもあります。
(1984年/昭和59年/石本美由起:詞/岡千秋:曲)

細川たかし「矢切の渡し」

献奏へのリクエストに限って言えば、細川たかしは決して多くはありません。やはり、彼の持つ華やかで明るいオーラは、死への憧憬よりは生の謳歌にこそ似つかわしいと言う事なのでしょうか。彼のヒット曲の中では、「矢切の渡し」が最も叙情的で献奏向きの楽曲と言えるでしょう。ただ、周知の通り、この曲は細川のオリジナルではなく、ちあきなおみのカバーで、そのせいか細川のキャラクターに合致しているとは言い難いように感じます。細川たかしをお好きだった故人様には、例えば「浪花節だよ人生は」を出棺の時の演奏する、と言うのも良いかもしれません。
(1983年/昭和58年/石本美由起:詞/船村徹:曲)

石川さゆり「津軽海峡冬景色(津軽海峡・冬景色)」

私だけではないと思いますが、演歌を知らない方が「演歌」と聞いて、まず連想する最右翼の曲が、この「津軽海峡冬景色」ではないでしょうか?もちろん献奏の場面においても、度々リクエストを頂戴しますが、石川さゆりをリクエストされるお客様からは、「天城越え」へのご希望の方が多いかもしれません。「津軽海峡冬景色」は有名になり過ぎて、ちょっと陳腐化してしまったきらいがありますが、改めて耳を傾ければ、哀愁とドラマ性を兼ね備えた佳曲だと思います。ちなみに、歌詞に出てくる「青函連絡船」のお話。1988年(昭和63年)同航路の廃止後、カーフェリーを含めた青森-函館間の航路は縮小の一途を辿っていましたが、北海道新幹線の開業後、運賃の安い航路が見直されて利用が増えてるんだとか。私も一度だけこの区間のフェリーに乗りましたが、ゆっくり旅が出来るなら、やっぱり飛行機や新幹線ではなく、船で渡りたいですね。
(1977年/昭和52年/阿久悠:詞/三木たかし:曲)

大川栄策「さざんかの宿」

先に紹介した「津軽海峡冬景色」と共に「演歌」と言うジャンルの代名詞的な曲のひとつだと思います。もちろん献奏の場面でもご希望があれば演奏をしますし、実際リクエストも多いのですが、いつも私は演奏しながら「いいのかなあ?」なんて首をひねっております。もちろん、禁断の恋の歌など星の数程あるし、歌詞の意味をいちいち噛み砕いていたら、献奏に取り上げられない曲だらけになってしまいます。でも、この曲を弾く時、私はなんとなく後ろめたい気持ちになってしまうのです。なぜなんでしょうか?・・・あ、私は、浮気・不倫を一切しておりませんよ(キッパリ)。
(1982年/昭和57年/吉岡治:詞/市川昭介:曲)

渡哲也(牧村三枝子)「みちづれ」

この曲は、「さざんかの宿」とは違い、献奏では非常に演奏し易い曲となります(笑)。私も後ろめたい気持ちを味わわず、気持ちよく演奏が出来ます。ですが、詞のリズムに自然に寄り添うために、メロディーに一部変拍子が混ざっている事、コード(和音)の変化が少ない事が重なり、演奏だけで聞かせるのは、少し難易度が高いようです。オリジナルは渡哲也ですが、一般に知られているのは牧村三枝子が歌ったバージョンで、私も牧村の方を先に知りました。
(1975年/昭和50年/水木かおる:詞/遠藤実:曲)

鳥羽一郎「兄弟船」

最後はちょっと番外編的な扱いになりますが、こちらの曲を紹介致します。番外編と謳ったのは、私が三重県での演奏機会が多く、この曲の演奏機会もずば抜けて多いからです。これが例えば、岐阜県での演奏機会が多ければ、確実に「奥飛騨慕情(竜鉄也)」を取り上げる機会が増えるでしょう。やはり「ご当地もの」は外すことが出来ません。故人様が漁師だったり、釣りがお好きだった場合は、なおさらです。
(1982年/昭和57年/星野哲郎:詞/船村徹:曲)

今回は、6曲を取り上げました。ほかにも取り上げるべき曲は沢山ありますが、演歌編はひとまず終了したいと思います。次回は歌謡曲編を予定しております。

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